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仙台高等裁判所 昭和25年(う)333号 判決 1950年11月25日

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

判決要旨

公判廷において検察官より検察官の面前における供述調書の証拠調請求に対し弁護人はこれを証拠とすることに同意し証拠調について異議なしとの意見を述べ証拠調が行われた以上右調書が供述者等の被疑事件の被疑者としての供述記載であるとの一事をもつて刑訴法第三二六条第一項のいわゆる「相当と認めるとき」に該当しないと断ずることは出来ない。

理由

原判決は原判示事実認定の証拠として武田正憲の偽証被疑事件につき同人の検事に対する供述を録取した第一、三回供述調書の供述記載や菅井正男の偽証被疑事件につき同人の検事に対する供述を録取した調書の供述記載を掲げている。しかし原審第四回公判調書によれば検察官より右書面について証拠調を請求したのに対し主任弁護人は之を証拠とすることに同意し証拠調について異議ない旨の意見を述べ適法に証拠調が行われた事実を窺知しうるのであつて右検察官の面前における供述録取書が供述者等の偽証被疑事件の被疑者としての供述記載であるとの一事をもつて刑訴法第三二六条第一項のいわゆる「相当と認めるとき」に該当しないと断ずることは出来ない。しからば原判決が右調書の供述記載を証拠にしたことについては毫も採証法上の違反はない。

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